「名前は、枠からはみ出さないように小さく書いてね」
小学校に入って、こういう言葉が毎日のように出てくることに気づきました。
- 「きゃ・きゅ・きょ」の小さい文字
- 「もっと大きく書いて」
- 「長い鉛筆を使いましょう」
- 算数の「長いのはどちらでしょう」
反対の言葉は、ことばの勉強のひとつだと思っていました。でも入学してみると、授業の指示そのものでした。「小さく」が分からないと、名前を書くことも、算数の問題も進まない。
自閉症の息子に、わが家がどうやって反対の言葉を教えてきたか。うまくいったことと、つまずいたことを書きます。
▶ 発達検査でも「対になる言葉」は難しかった → 田中ビネーを5歳で受けた自閉症の息子|発達検査の前に知っておきたい5つのこと
最初にできたのは「暑い・寒い」だった
息子が最初に分かるようになった反対の言葉は、暑い・寒いでした。
たぶん、毎日、体で感じる言葉だからだと思います。外に出たら暑い。エアコンの部屋は寒い。言葉を教える前に、体が先に知っている。
そして最近、やっと分かるようになったのが、重い・軽い。風船を持って「軽いね」、教科書がいっぱい入ったランドセルを持って「重いね」。両手で、続けて持てたのがよかったのだと思います。
家でやってきたこと①:体験と一言をセットにする
わが家の基本は、体験した瞬間に、一言だけ言うことです。
- 熱い味噌汁をよそったとき「熱いよ」
- 保冷剤で冷やすとき「冷たいよー」
- 水を触って「冷たいね」→ お湯に変えて「温かいね」
- ジャングルジムの上で「高いね」→ 低い台の上で「低いね」
- 「速く走って」
わが家の最小単位:比べる → すぐ言う → 反対も続ける
- 同じ場面で
- 2つを続けて体験させて
- その瞬間に、一言だけ言う
たとえば、
- 風船を持って「軽いね」→ すぐにランドセルを持って「重いね」
- 水を触って「冷たいね」→ お湯に変えて「温かいね」
わが家では、冷たいと温かいを別の日に教えるより、続けて触った方が、違いが体で分かりやすかったようです。
家でやってきたこと②:絵カードで、机の上でも
体験だけでなく、机の上でも練習しました。
- 絵カードを見せて、言葉を聞かせる
- マッチング(同じ絵を重ねる)
- 「暑いのどれだ?」と聞いて、選んでもらう
体験で「分かる」を作って、カードで「選べる」にする。両方あると、行ったり来たりしながら少しずつ定着していきました。
そして、カードでできるようになったら、実物や生活の場面でも同じ言葉が使えるかを見ます。カードで「重い」を選べても、ランドセルを持って「重い」と分かるとは限らないからです。
▶ カードの練習の順番(マッチング→選ぶ→言う)→ 絵カードの使い方|般化の教え方
つまずき:片方だけ覚えてしまう
わが家では、片方だけ覚えてしまうことがめちゃくちゃありました。
「重い」は分かるのに「軽い」が分からない。「強い」は言えるのに「弱い」が出てこない。
わが家がやったのは、地道ですが、これだけです。
- 実際に体験させる(重い物と軽い物を、続けて持たせる)
- カードを見せながら、何回も言う
そして、反対の言葉はできるだけ2つセットで出すようにしました。
学校も「見える形」にしている
息子のクラスには、声の大きさを表す表が貼ってあります。動物の絵と、数字と、棒グラフのような形で、「今はこのくらいの声」と分かるようになっている。
「大きい声」「小さい声」は、目に見えません。だから学校の先生も、見える形にしている。家でカードを使ってきたのと、同じ方向だと思いました。
今日からできること
- 反対の言葉は、同じ場面で、続けて体験させる(水→お湯、風船→ランドセル)
- その瞬間に、一言だけ言う
- 片方だけ覚えてしまったら、できるだけ2つセットで、何回も見せて言う
- 入学前なら、「小さく書いて」「長いのはどっち?」を、実際に書いたり比べたりして練習しておく
わが家では、反対の言葉は入学したら「指示」になりました。でも、家で体験を積み重ねておけば、教室で「小さく」と言われたとき、体が先に分かってくれるかもしれません。
※本記事は個人の体験に基づくものです。教え方はお子さんによって合う・合わないがあります。

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