「絵カードって、自分で作れますか?」
作れます。うちは5年間、ずっと作ってきました。市販のカードにお世話になりながら、足りないところは全部自作。深夜にフリー素材を探して、印刷して、切って、ラミネートして。
でも最初の頃は、作り方を間違えていました。この記事は、その失敗から学んだ「写真とイラストの使い分け」の話です。
最初の失敗:ペットボトルの絵で混乱した
息子に「お茶」を教えようとして、ペットボトルのイラストを使ったことがあります。うまくいきませんでした。
理由は後から分かりました。うちにあるペットボトルは、サイズも形もラベルも全部違う。500mlと2Lでは見た目がまるで違うし、イラストのペットボトルはそのどれとも違う。息子にとっては「これがお茶」と言われても、目の前の物と結びつかなかったんです。
そこで、家にある実物を写真に撮ってカードにしました。これは通りました。
使い分けのルール:写真かイラストか
5年間で、うちにはこんなルールができました。
写真で作るもの
① 家によって見た目が変わる物
ペットボトル、コップ、タオル、靴。「うちのコップ」は写真じゃないと伝わらない時期があります。まず「うちの」で覚えて、あとから他の絵でも分かるように広げていく。
② 要求で使う物(本人が欲しい物)
これがいちばん大事でした。「ジュースちょうだい」を教えるとき、うちは息子の好きなジュースをそのまま写真に撮りました。ジュース一般のイラストではなく、いつも飲んでいるあの銘柄を。
欲しい物のカードは、本人の「これが欲しい!」と直結しているほど強い。「言えば手に入る」を一番早く実感できるのは、好きな物のリアルな写真でした。
イラスト(フリー素材)で作るもの
③ 誰が描いても同じ物・写真に撮れない物
草花、乗り物、動物、天気。バスはどこで見てもバス。こういう物はイラストで十分でした。むしろ、写真だと背景や余計な物が写り込んで、何を指しているのか分かりにくくなることがあります。
まとめると
| 写真 | イラスト | |
|---|---|---|
| 向いている物 | うちの物・欲しい物 | 概念として同じ物 |
| 強み | 本人の世界と直結する | 余計な情報がない |
| 弱み | その1枚でしか通じないことがある | 実物と結びつかないことがある |
写真はその子の世界、イラストは概念。どちらか一方ではなく、両方を行き来させるのが般化の練習になります。
実際の作り方(うちの手順)
- 写真を撮る:背景は白い壁や机の上で。物だけが写るように
- フリー素材を探す:うちは「いらすとや」や「ザ・プロンプト 絵カードセンター」など、その時々でいろいろ使いました。文字が入っていない、線がはっきりした絵を選ぶ
- 同じサイズに揃える:うちは9cm角。小さすぎると指さしがしにくい
- 印刷して切る:コンビニ印刷でも十分
- ラミネートする:わが家では必須でした。絵カードは一度で覚えるものではなく、何度も何度も練習するもの。舐める、投げる、折る——ラミネートしないと1週間もちませんでした。長く使うための投資です
わが家で使っている道具(5年間、これだけで作ってきました)
- ▶ ラミネーター アイリスオーヤマ LM32Eを見る(Amazon) ※A4対応の一番シンプルなもの。電源を入れて温まるのを待つだけ
- ▶ ラミネートフィルム A4 100枚入りを見る(Amazon) ※1枚に絵カード6〜9枚分。100枚あれば1年もちます
- ▶ コーナーカッター(角を丸くする)を見る(Amazon) ※角が尖っていると口に入れたとき危ないので、必ず丸くします
- ▶ 名刺ケース(カードの収納)を見る(Amazon) ※9cm角は名刺よりひとまわり大きいので、少し大きめの仕切りケースが便利
※本記事のリンクにはアフィリエイトを含みます。紹介しているのは、実際にわが家で使っている物だけです。
同じカードを2組作っておくと、「同じのはどれ?」のマッチングから始められます。
自作でも変わらない教え方の順序
作ったカードは、いきなり「言わせる」から始めないでください。
マッチング(同じもの合わせ)→ 受容(「◯◯はどれ?」で指さす)→ 表出(「これなに?」で言う)。この順序は、写真でもイラストでも同じです。詳しくは別の記事に書きました。
▶ 自閉症児への絵カードの使い方|「覚えたのに使えない」を越える般化の教え方
5年後、自作カードは商品になりました
当時のカードは角がすり減って、もう残っていません。でも「市販のカードにはスマホがない」「同じ動作を違う人がやっている絵がない」——自作しながら感じた「無いもの」は、そのままいまの「いまの暮らしの絵カード」になりました。
イラスト側(概念)は、この商品で揃えられます。写真側(その子の世界・欲しい物)は、どうかご家庭で撮ってください。そこはその子のママ・パパにしか作れません。
▶ まず試したい方へ → 無料お試し版(絵カード4枚+ことばカード4枚・0円)
▶ 印刷せずにいますぐ試す → カードクイズ 無料お試し版(スマホで「パンはどれ?」)
▶ 作った理由 → 市販の絵カードにはスマホがなかった
▶ 販売のお知らせ → 自閉症の息子のために作った絵カード、販売をはじめます
※本記事は個人の体験に基づくものです。お子さんへの教え方は、特性に合わせて専門家にもご相談ください。


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